いつもここにいるよ

あなたがいて、うれしいです

小説

「海と山のピアノ」世界をつなぐものたち

命を育み、 あるいは奪う、 水の静けさ、こわさ、 あたたかさ。 響きあう九つの 短編小説。 九つの物語は、水をモチーフにそれぞれがつながり合いながら、 山と海、現実とビジョン、目に見えるものと見えないもの、一瞬と永遠、あちらとこちらという相対する…

「こちらあみ子」悲しいほど強く優しくしたい

「こちら あみ子」 第24回(2011年) 三島由紀夫賞受賞・第26回太宰治賞受賞作 ずっと居心地の悪さを感じながら読んでいた。 作者は「何か」を語らないまま話が進む。 話の中には悪い人はだれもいない。 むしろみんな優しい人たちだ。 その優しい人達が壊れ…

『ハリネズミの願い』でも、だれも来なくてもだいじょうぶです。

谷川俊太郎さんが 「大笑いしてるうちにぎくっとして、突然泣きたくなる21世紀のイソップ」と絶賛した 『ハリネズミの願い』の紹介です。 (おおいにネタバレですので注意) 親愛なる動物たちへ ぼくの家にあそびに来るよう、キミたちみんなを招待します。 …

「羊と鋼の森」森の匂いがした。秋の、夜に近い時間の森。

「羊と鋼の森」 宮下 奈都 「森の匂いがした。秋の、夜に近い時間の森。」 という書き出しで始まる物語。 高校の放課後の体育館で、偶然聞いたピアノの音に森の匂いを感じた17歳の主人公。 音は、ピアノの調律師が鍵盤を叩く音でした。 主人公はピアノを弾…

「ダロウェイ夫人」バージニア・ウルフはやっぱり怖いかも・・・

ヴァージニア・ウルフは読みたいと思いながらなかなか読めずにいた。 「灯台へ」を挫折し、「ダロウェイ夫人」をモチーフにした映画、「めぐり合う時間たち」を観た。 不思議で印象的な映画だったけど原作を読むにはつながらなかった。 その後も、興味をもつ…