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インドラの網  賢治とハン師とマイケル

 敬愛するブログ仲間のhappy-ok3さんの雁の飛行についての記事を読んで、宮沢賢治の『雁の童子』を 思い出しました。

 

この物語は、1907年にスタインが発掘したミーラン遺跡(中国新疆ウイグル自治区タクラマカン沙漠の東南端にある)で発見された壁画 をモチーフに賢治が作ったとされています。

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スタインが採取した有翼天子像(インド国立博物館蔵)

 (スタインはその壁画を「翼のある天使」と呼んでいます。そのため、この壁画は、”有翼天使像”とも呼ばれます。)

 

 『雁の童子』

話の内容は 西域のオアシスの泉のそばの沙中から翼のある童子の描かれた壁画が掘り出されたことから、その童子の前世の由来を、巡礼の老人が語って聞かせるものです。

 

天の眷属(神の使者)であった一家が、罪を犯したそのために地上に雁の形で落とされる。

その報いは人間の鉄砲で撃たれることで果たされるが、死ぬ間際に天の眷属の姿に戻り残された孫を子のない老人夫婦に託す。

 

成長した童子は古い壁画に描かれた天の童子の姿を見つけ、童子の天の祖父の意志が働いて、童子が老人夫婦の子として生きる全ての過程が尽くされた自分の運命を悟るという。

 

 

賢治の天の童子の壁画の話にはもうひとつ、

『インドラの網』があります。

 

こちらは天の童子の壁画を発掘した学者が、天の世界に入り込んで壁画に描かれていた天の子どもらに会う話です。

  ふと私は私の前に三人の天の子供こどもらを見ました。それはみなしもったようなうすものをつけすきとおるくつをはき私の前の水際みずぎわに立ってしきりに東の空をのぞみ太陽たいようのぼるのをっているようでした。その東の空はもう白くえていました。私は天の子供らのひだのつけようからそのガンダーラ系統けいとうなのを知りました。またそのたしかに※(「門<眞」、第3水準1-93-54)コウタン大寺の廃趾はいしから発掘はっくつされた壁画へきがの中の三人なことを知りました。私はしずかにそっちへすすおどろかさないようにごく声ひく挨拶あいさつしました。

 

天の空間の描写が素晴らしいです。

 

「ごらん、そら、インドラのあみを。」
 私は空を見ました。いまはすっかり青ぞらにかわったその天頂てんちょうから四方の青白い天末てんまつまでいちめんはられたインドラのスペクトルせいの網、その繊維せんい蜘蛛くものより細く、その組織そしき菌糸きんしより緻密ちみつに、透明とうめい清澄せいちょうで黄金でまた青く幾億いくおくたがい交錯こうさくし光ってふるえて燃えました。
 

                                『インドラの網』 宮沢賢治

 

 

インドラの網

インドラ(バラモン教ヒンドゥー教の名称 漢訳では帝釈天)は、アムリタ(聖水)の雨が降る世界の中心の山「須弥山」に住んでおり、 その宮殿の周りには巨大な球状のインドラの網が張られているといいます。

 

 その強く透明な網目の結び目には美しい宝玉が縫いこまれており
その宝玉はお互いを映しあい
またその映しあった姿が他の宝玉へと映しあうという
まるで鏡の中の世界のように
無限に美しい輝きが続いていく世界を現しています。

 

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賢治は壁画が発掘された場所としてコウタンを設定しました。コウタンは、華厳経の経典が秘蔵されていたオアシス都市です。

これには賢治の思いが込められていると思います。

 

 華厳宗について    

 重々無尽の縁起[編集]

華厳思想の中心になるのは、この世界の実相は個別具体的な事物が、相互に関係しあい(相即相入)無限に重なりあっているという考え方(重々無尽の縁起)である。この実相を4つの見方・四法界に分ける。我々の通常のものの見方は事法界で、無自性の見方の理法界は仏の世界である。この両者を止揚した無自性・空の世界と具体的個物や現象が妨げあわず共存する理事無礙法界が、修行をすると顕れるが、これは天台の考え方で理と事を分けている点が不徹底である。この分裂をなくせば、最後に、「理」すなわち「無自性・空」も消え去り、ただ事物と事物が融通無碍に共存する事々無礙法界という仏の見方に到達し、これが本来の真実一如の世界であり、華のような美しさにたとえて説く。

                                      Wikipediaより

 

  
すべてのものは関係しあい

お互いがお互いを映しあい
響きあい、
森羅万象すべてが
たとえお互いが違っていたり、反発していても

あらゆることがすべてがひとつとして必然であるという世界・・・

  

『雁の童子』ではあらゆる出来事がつながっていて、どんな出逢いも必然であると語り、

『インドラの網』ではすべてのつながりの本来の美しさを描いています。

 

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「どんなものでも自分だけで存在しているものはないし、どんなものも他との関わり合いの中でしか存在しない」という 縁起の思想です。

 

 これはティク・ナット・ハンがいう「相互共存(インタービーイング)」のことだと思います。

ティク・ナット・ハンは「私を本当の名前で呼んでください」という詩を書いています。

 

ley-line.hatenablog.com

 

 

ここで、私はマイケル・ジャクソン「All In Your Name」を思い出しました。

 

 
All In Your Name [Official Music Video] - Michael ...

 

「All In Your Name」


Now I got a mission
the story unfolds
what the wise men have told you, is already known
that a woman and a man
should go by the plan
and we find out how we can fly 
・・・・・・
・・・・・・
 
Look to Heaven
An angel of peace
To love and protect us
Through all of our tears 
 ・・・・・・

・・・・・・
 
Take all my chances, like those who dare
And where is the peace
We're searching for
Under the shadows of war
Can we hold now, and stand up, and say no 

 ・・・・・
 ・・・・・
  
It's all in the game
It's all in your name
Follow me through the gates of paradise
They're the same

...It's all in your name... 

 

今、僕は ある物語を届けるという ひとつの使命を得た

賢人たちが君に語ってきたその物語、それはすでに知られている

それはそれぞれ、ひとりひとりが 計画に沿って行くだろう物語

また、僕らがどれほど高く飛ぶことができるかを見出すという物語である
・・・・・・


 天国を見る…
平和を愛する天使は、
私たちの涙を越えて
私達を愛し、守ってくれる。

・・・・・

勇者のように、全ての機会を掴む。
そして平和はどこに?
私たちは平和を求めて
戦争をしている…
みんなで耐えて、立ち上がって、Noと言えないか?

・・・・・

全ては挑戦の中に
全ては君の中に…
僕について楽園の門をくぐろう
みんな同じだから

そう、全ては君の中に…

 

 インドラの網の結び目の美しい宝珠は私たち

 

宮沢賢治 と ティク・ナット・ハン と マイケル・ジャクソン・・・

 

壮絶な人生を生きた 彼らは、宇宙を、インドラの網の宝珠が反射し合ってどこまでも繋がる世界を、 見たのではないでしょうか?

 

また、その目には、本来の輝きを歪め合う人間世界がどのように映ったことでしょう。

 

先日、やはり私が敬愛するisaku さんが「マイケルの誇り」という、マイケルの壮絶な生き方と心の叫びを記事に書いてくださいました。

 

levites.hatenablog.com

 

 正直、そこまでマイケル・ジャクソンのことは知らなかったので、衝撃を受けました。

でもそれがあってこそ、私の中で「All In Your Name」とティク・ナット・ハンがつながることができました。(全くの私見ですのでご了承を)

 

ブログを通じて出逢い、お互いの存在を知り、思いを映し、映されながら、新たな自分とも出逢えるような気がします。

 私たちはお互いを必要としています。

私にはブログという世界がまるでインドラの網のように見えるのですが・・・