「青のない国」~何が大切かは、自分で決める~
「青のない国」 ちいさい書房 風木一人/作 長友啓典・松 昭教/絵
~何が大切かは、自分で決める~
< あらすじ>
人と話すよりも花と話す方が好きだった一人の男が、ある日、今まで見たこともない植物を見つけて大事に育てていく。
やがてその植物は美しい花を咲かせ、その色が「青」ではないかと評判になる。
その国には「青」という色がなかったのだ。
「青」は昔、神と共にこの国からなくなってしまった色だった。
これがきっと神話にある「青」なんだということになる。
男の意志とは関係なく話しがどんどん大きくなり、おおぜいの人々がやってきて男の静かな生活も変わっていく。
「青い花テーマパーク」建設の話まででてくるが、突然打ち切りとなる。
理由は遺跡から”本当の”「青」の石が発見されたから。
石の色は花の色とは違っていた。
今度はそちらの石にみんなが大騒ぎとなり、男はうそつきと呼ばれるようになる。
周りからの誹謗中傷に男は、”美しい”という意味もわからなくなってしまう。
・・・しかし、あることをきっかけに男は自分の「大切なこと」を見つける・・・
モノトーンから次第にきれいな青が登場していきます
この絵本「青のない国」は私たちに何が本当かは、自分で決めていくのだと教えてくれます。
周りの人がどう言っているかではなく、自分がどう感じているかをもっと大切にしなくてはと思いました。
たとえ他の人には価値がなくても、私にとって大事なものならそれで充分なんだと・・・。
話しが変わりますが、先日、山梨県立大学教授の西澤哲先生の講演を聞く機会がありました。
福祉に関係する講演でした。この講演についてはまた別の記事にしたいと思っています。
今回は最後の質疑のコーナーでのこと・・・
本当の自分の子ではない子どもを養育している里親が、その子どもに「本当の子ではない」と伝えることを「真実告知」といい、その告知について質問がでました。
講師の西澤先生はそこで、そもそも「真実告知」という言い方はおかしいとおっしゃいました。
「真実」は人から告知されるものではない。事実を知らせなければいけないが、事実を知った上で、自分にとって親とは何か、何を真実とするかを決めるのは本人なんだ。
と力を込めて話してくださいました。
「青のない国」もそういうことを言っているのだと思いました。
「青のない国」はひとり出版社の「小さい書房」から出版されています。代表者の安永則子さんがそれぞれの絵本の帯の言葉(「青のない国」は「何が大切かは、自分で決める」)を考えているそうです。
絵本は読まないよ、という人にも、読んでいただける本が目標という、ひとり書房のホームページもよかったです。
chiisaishobo.com