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ヤン・リーピン「シャングリラ」祈りの舞い

東京レポート第2弾!<祈りの舞い編>

 

ヤン・リーピンの「シャングリラ」を観てきました!

 

「シャングリラ」の日本公演はisakuさんの記事で知りました。

以前から気になっていた公演でしたが、これが「シャングリラ」最後の公演と知り、すぐにチケットを予約しました。

 

levites.hatenablog.com

 

  

 

 

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「”シャングリラ”とは”美しい場所”を意味する言葉です。

私たちはこの作品の中で、人間が本来持つ”美しい気持ち”を表現しようとしています。

自然や生命に対する憧れや畏敬の念を言葉ではなく、昔から行われてきた踊りや歌によって表すのです」

                    (ヤン・リーピン) 

 

 

ダンサーであり振付家でもあるリーピンさんは、雲南省少数民族に昔から伝わる踊りや歌を自分の足で現地を巡ってリサーチ。

各部族の歌自慢、楽器・踊りの名手の若者をスカウトし、彼らをパフォーマーとした本物の雲南の歌踊を舞台で再現しました。

 

ヤン・リーピンさん自身も中国雲南省少数民族、白(ぺー)族出身。

幼いころから踊りが好きで「踊るために生まれてきた」と自身も語っています。

今では国宝とされる舞踏家ですが、恵まれた環境で順風満帆という人生ではなかったようです。

彼女が幼いころ、父が妻子を捨てて出奔。

リーピンさんは長女として11歳で妹や弟がいる母を支えることになり、月給が30元と聞いた歌舞団のオーディションを受けてプロのダンサーになりました。

      

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太古より私たちは自然との関係の中でしか生きることができません。

 

時には優しい恵みであり、時には厳しい試練でもある自然に対し、私たちは自分の体を使って踊り、歌い、太鼓をたたき自然を司る神との交信をすることで、自然との関係をとろうとしてきました。

 

こうした民族的な儀礼や祭祀、日常の労働の歌は本来は人に見せるものではありません。

舞台化するにあたり、リーピンさんは「生命が求める」本来の歌や踊りである状態に舞台をもっていく行くことで、エネルギーを失わせないようにしているそうです。

 

 

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リーピンさんは歌舞団の中で才能の点はもちろんですが、特殊な存在(問題児)でもあったようです。

 

幼いころから動物や自然と会話をするようにして踊ってきた彼女は、画一的な踊りのレッスンが大嫌いでよくサボったとのこと。

 

 

今でも「あなたの踊りの師匠はどなたですか?」という問いに

「しいて先生をあげるならば、昆虫」と答えたそうです。

 

 リーピンさんには蝶のはばたく音が聞こえると言います。

 

全然聞こえないとおっしゃるかたもいますが、私にはとてもはっきり聞こえます。

 

白(ぺー)族には

「いちばん小さい音が、いちばん大きく聞こえる」

という言い方があるんです。

 

ものすごく小さな音ほど逆に大きく聞こえるんです。

 

 

 それはどうしてか?という問いに・・

 

 

 

聞こうとする心があるから。

目で見ようとしないで、耳を澄ましてみると、小さくてささやかな音が聞こえてくるんです。

 

 

「それと、鳥の話し声も聞こえます。鳥と人間は使っている言語が違うだけなので、彼らが何を話しているか私には理解できるのだと思います。

ただ、それを言葉で表すことはできない。でも、何を言っているかわかるし、それを耳にするととても楽しい気分になれます。」

 

 

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ヤン・リーピンさんの「シャングリラ」まさに「祈りの舞い」でした。

鳥肌が立つほどの祈りの舞いを観ることができたこと、私自身にとっても大きな意味がありました。

紹介してくださったisakuさんに感謝です!

 

 

 中国でもなかなか観ることができないというヤン・リーピンの「シャングリラ」、今回の日本公演が最後と聞き驚きでしたが、新作の準備をしているそうです。

 

 

「今の社会は精神的なものが失われて、物質社会になってしまい、人と人との信頼感が失われてしまいました。

 

戦争は一人ひとりの心の中に、敵を作ってしまう。

 

大きな意味での戦争と、小さい意味での心の内側がすごく危機に瀕しているいるということです。」

 

 

 

 今までは美しいものだけを表現してきましたが、これからはありのままの現実を表現すると言います。

彼女がこれから世界に向ける、新たなるメッセージに心から期待します。

 

 

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5年前の東北大震災が起きて間もない時期、公演に日本を訪れたリーピンさん。

「それは当然のことです。」とテレビのインタビューで答えていました。

 

 

今回の公演中期間中に熊本で地震が起きました。

ヤン・リーピンさんの祈りの舞いがまさにこのタイミングで日本で舞われたこと、偶然ではないと思います。

ヤン・リーピンの「シャングリラ」今日が最終公演です。祈。