サキノハカといふ黒い花といっしょに
Motion Typo Poetry 001 - YouTube
サキノハカといふ黒い花といっしょに革命がやがてやってくる
おほよそ卑怯な下等なやつらは
みんなひとりで日向へ出た蕈(きのこ)のやうに
潰れて流れるその日が来る
やってしまへやってしまへ
酒を呑みたいために尤(もっとも)らしい波瀾を起こすやつも
じぶんだけで面白いことをしつくして人生が砂っ原だなんていふにせ教師も
いつでもきょろきょろひとと自分とくらべるやつらも
そいつらみんなをびしゃびしゃに叩きつけて
その中から卑怯な鬼どもを追い払へ
それらをみんな魚や豚につかせてしまへ
はがねを鍛えるやうに新しい時代は新しい人間を鍛へる
紺いろした山地の稜をも砕け
銀河をつかって発電所もつくれ
この詩は最近知った宮澤賢治の詩。
私が知っていた賢治とは違う、強い怒りの詩に衝撃を受けた。
賢治は何に対してこんなに怒っているのか。
「おほよそ卑怯な下等なやつら」は誰なのか。
フランスの同時テロのニュースを聞いた時、宮澤賢治のこの詩を思い出した。
「おほよそ卑怯な下等なやつら」は誰なのか。
被害者の、痛み、無念、悲しみ、慟哭、絶望・・・
暴力に対する、怒り、憎しみ、恐れ、無力感・・・
私のなかで「敵を間違えるな」という声がする。
私は答えを見つけるとができず、賢治の「詩ノート」を見ていた。
雨が、雲が、水が、林が
おまへたちでまたわたくしなのであるから
われわれはいったいどうすればいゝのであらう
「沼のしづかな日照り雨のなかで」 1927.7.10
「 おまへたちでまたわたくしなのであるから」
「びしゃびしゃに叩きつけ、追い払う」べき
「おほよそ卑怯な下等なやつら」は
私のなかにあるのだ。
憎しみや恐れ、怒り、悲しみを抱えたままの自分。
テロについて祈りの言葉もまだみつけられないでいる。
そんな私がもし、ほんとうに、もし、
自分の目の前にあることで、ひとつでも愛することの方をを選ぶことができたら・・・
少しずつ、少しずつ、失敗しても、何度も、何度も挑戦していけたら・・・
これが「敵を間違えるな」という心の声への私の答えなんだと思う。
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この詩を教えてくれたのは、私のインドラの網の記事を見て訪問してくれた「すずり」さんです。
今回記事を書くにあたって、紹介させてもらうことをコメントでやり取りしました。
すずりさんのコメントを引用させてもらいます。
ぜひぜひ賢治さんの詩を紹介してください!
私のブログも載せてもらって大丈夫です。ちょっと恥ずかしいけれど(笑)
この詩って今のようにテロが起こったり・戦争の理不尽な話が聴こえてくると連想して思い出す響きがありますよね。
だからこそブログに今回書いたんですけど、実は賢治さん自身はそんな大きな出来事ではなくて、『自分の中の卑怯なもの』を追い払え と教えるための詩だったんじゃないかな・・・と私は思ってるんです。
一人ひとりが『自分の中の卑怯なもの』をやっつけられたら、テロのような悲惨な事件もなくなるような気がします。
すずりさんとインドラの網によって、つながったことに大きな喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。(しかもこのタイミング!)
すずりさんのブログ「星の庭」http://denkilis.blog.fc2.com/blog-entry-16.htm
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もうひとつ、賢治の「詩ノート」に「サキノハカといふ黒い花といっしょに」が出てくる文を見つけました。
サキノハカといふ黒い花といっしょに
革命がやがてやって来る
それは一つの送られた光線であり
決せられた南の風である、
諸君はこの時代に強ひられ率ひられて
奴隷のやうに忍従することを欲するか
むしろ諸君よ 更にあらたな正しい時代をつくれ
宙宇は絶えずわれらに依って変化する
潮風や風、
あらゆる自然の力を用ひ尽すことから一足進んで
諸君は新たな自然を形成するのに努めなばならぬ「 生徒諸君に寄せる」断章五
「サキノハカ」とは?
「釈迦の墓」
->「サーキヤのハカ」
->「サキノハカ」
という説があるそうです。
(宮沢賢治幻の羅須地人協会授業 畑山博著 -- 廣済堂出版)
先の詩の最後
「 銀河をつかって発電所もつくれ」
私には「インドラの網を強化して、新しい宇宙を創れ」と聞こえます。
フランスのピアニスト 「エレーヌ・グリモー」によるBach/Busoni Chaconne
シャコンヌ ニ短調 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 BWV1004から
HELENE GRIMAUD - Bach - YouTube