東田直樹さん 「人にならなければいけない」
以前にブログで紹介した「跳びはねる思考」を書いた東田直樹さんの講演会に、今日行ってきました。
東田さんが書いた原稿を、中央の画面に映しながら、東田さんが読んでいきます。
初めは奇声を発しているとしか思えずに、画面の文章だけを目で追っていましたが、途中で、彼が読んでいることに気がつきました。ときどきはっきりと言葉が発声されます。
彼の読み方に慣れてくると、だんだん言葉として聞き取れてきました。
東田直樹さん 講演会ではスーツ姿がとても素敵でした!
以下、講演会の資料からの抜粋です。赤字は資料のままです。
<見かけの僕>
奇声を上げ、跳びはね、人の言うことも聞かない僕を見て、このような文章を書くことを信じられないという方もいる。
確かに、物心つくまで、僕は自分が人だということにも、気づいていなかったのだと思う。
<自然の一部>
僕は、自然の一部だった。
光りを見れば、光りの粒に見とれ、砂に触れば、指先から体がこぼれ落ちていくような感覚になった。空をあおげば鳥になり、水をのぞいては魚になった。風の音に耳をすまし、緑の美しさに目を奪われていた日々だったような気がする。
<幼稚園>
そこで初めて、自分が悪い子だと知った。僕は、何とかいい子になろうとしたが、どうやれば、みんなのようになれるのか、まるでわからなかった。
<孤独>
僕は、孤独だった。いつも自分の居場所を探していた。
僕は自分が人にならなければいけないことを悟った。
世界には、美しいものがこんなにあるのに、人にならなければいけない、その現実に打ちのめされた。
<両親>
両親は、そんな僕を全力で愛してくれた。
一番つらかった時代、どんな僕であっても、受け止めてくれた両親のおかげで、このままの自分でいいと、僕は思えるようになった。
<パニック>
パニックになった時、どんな対応をすればいいか、質問されることもあるが、まずは、パニックになるくらい本人が苦しんでいることをわかってあげて。
<恐れないで>
パニックにならない毎日を目指すのではなく、その人らしい生き方ができるように、一緒に頑張ってあげて。
<一員>
僕の両親も姉も、僕を家族のひとりとして、大切に育ててくれた。
そんな僕にできることは、自分なりの方法で、社会に貢献すること。
僕たちも、望まれて生まれてきた、この地球の一員なのだ。
東田さんのお母さんの言葉
「私にとって、重要なのは『直樹が自閉症である』ということ以上に、直樹が毎日、何を考えて、どんなことを感じているのか、そしてどのような人生を送りたいと願っているかということ。
可能性を信じる子育てとは、目の前にいる子供と、子供の未来を信じ、自分にできることを一生懸命やることだと思っています。」
希望
自分のことを「大好き」だと言ってくれる人がいる。
かけがえのない人間だと思ってくれる人がいる。
希望というのは、将来の夢や目標だと思っている人がいるけれど、
それだけではない。
明日の自分を待っていてくれる人がいる。
そう思えることが希望のない人の「希望」になる
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高校を卒業する娘と、中学2年の息子を持つ親として、彼と出会えたことはとても大事なことでした。子供がのびのび自信を持って生きるということは、私も同じように生きることだと思います。
彼は自分らしさを否定され、幸せな世界から出ていかなければならない現実に傷つきましたが、「死闘のような(本人の言葉より)」練習で自分を表現する手段を獲得し、再び、自分の世界を表現することが社会に貢献することだと宣言しました。
その姿に、何よりも私自身が励まされ、癒されました。
You TubeでNHKのドキュメンタリーがでていました。1/3ずつ分割になっていて、その一部ですがよかったら見てください。
君が僕の息子について教えてくれたこと 1/3 The Reason I Jump - YouTube
君が僕の息子について教えてくれたこと 2/3 The Reason I Jump - YouTube
君が僕の息子について教えてくれたこと 3/3 The Reason I Jump - YouTube